コラム

5年以上返済をされていない方へ

借金をしていたが,5年以上返済を停止していたところ,今になっていきなり業者から支払督促がされた方は少なくありません。また,5年以上支払を停止していたが,裁判所が支払督促が来たのでどうしたらいいかと相談に来られる方もいらっしゃいます。

支払停止から5年以上経過している場合は消滅時効を援用することで支払を免れる可能性があります。しかし,以下の場合は5年以上経過していても消滅時効の援用ができず,業者からの支払請求に応じざるをえません。支払不能であれば任意整理や個人再生等の債務整理を検討する必要があります。どうすればいいかにつき弁護士への無料相談を利用していただければと思います。

●支払停止から5年以上経過していても消滅時効援用ができない場合

①貸付の相手が個人の場合

商法上の商人に該当しない限り,消滅時効期間は10年となります。

②貸付の相手が信用金庫である場合

最高裁昭和63年10月18日判決において、「信用金庫の行う業務は営利を目的とするものではないというべきであるから、信用金庫は商法上の商人には当たらないと解するのが相当である」と判示されており、信用金庫は、商人ではないとされています。したがって、信用金庫が貸主である貸金の時効期間は、10年になります。ただし、信用金庫が貸主の場合であっても、商人である会員の営業のための貸金については、商事債権となりますので、時効期間は5年となります。たとえば、個人事業主や会社が信用金庫から事業資金を借り入れたのであれば、貸金債権の時効期間は5年です。

③住宅金融支援機構の住宅ローン

住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)は、商人ではありませんので、住宅金融支援機構の住宅ローンの時効期間は、10年になります。

④保証協会の求償権

保証協会が主債務者に代わって債務の弁済をした場合、主債務者に対して求償権を取得することになります。そして、求償債権の消滅時効は、保証協会が代位弁済をした時点から進行します。
保証協会は商人ではありません(最高裁昭和60年2月12日判決)ので、保証協会の求償権の時効期間は、通常の債権の時間と同様に10年となります。ただし、保証協会が、商人である主債務者の委託に基づいて保証したときは、求償権は商事債権となり(最高裁昭42年10月6日判決)、時効期間は5年となります。
たとえば、保証協会が、個人事業主や会社の委託に基づいて保証したときは、求償権の時効期間は5年です。

⑤訴訟提起されて判決が確定した場合

債権者が債務の弁済を求める訴訟を提起したときは、その時点で消滅時効が中断します。そして、判決が確定して訴訟が終了したときから、再度時効が進行を始めますが、民法174条の2に「確定判決によって確定した権利については、10年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、10年とする。裁判上の和解、調停その他確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利についても、同様とする。」と規定されていますので、時効期間は5年である債務についても、判決が確定してから10年が経過しないと、消滅時効は成立しないということになります。

⑥債権者に債務承認をした場合

時効の中断事由の代表的なものは、債務の承認です。5年の間で一度でも借金があることを認めたのであれば、その時点で時効は中断し、時効期間の計算は振り出しに戻ります。時効期間の計算が振り出しに戻ったということは、また承認の時点から5年が経過しないと、時効の援用はできないということになります。そして、注意しなければいけないのは、「返済」は債務承認にあたるということです。債務があることを認めたからこそ返済をするのですから、少額でも返済をすれば債務を承認したことになり、時効は中断してしまいます。同様に、支払いを猶予してくれるように申し入れたりすることも債務の承認となり、時効中断に当たります。