コラム

住宅ローンを他の借入金の返済に費消した場合の個人再生

住宅ローン有の住宅を維持しながら多額の負債の支払対応をするには個人再生を検討すべきことが多いです。自己破産であれば,親戚等による買い取り等の特殊事情がない限り,自宅の維持ができないからです。任意整理の場合も住宅の維持は可能ですが,そもそも月の返済額の負担が大きいままで抜本的な解決にならないことが多いからです。

この住宅ローンがある場合に個人再生をしていくためには色々要件はありますが,住宅ローンの目的使途が建物や宅地の購入・リフォーム・住宅ローンの借換であるといえなければこの個人再生はできないことになります。

ただ,住宅ローンを組むにあたって銀行等からの勧めもあり,住宅ローンを組んだ際に存在していた自動車ローンやカードローンの返済をこの住宅ローンをもってされている方もいるかと思います。このような場合,前述した要件を満たさず,個人再生ができず,住宅を維持できないという結論になるのでしょうか。

 

①自動車ローンやカードローンの返済が住宅ローン全体に占める割合の10%以内であること

令和6年9月時点では裁判所の運用上,住宅ローンによる自動車ローンやカードローンの返済の金額が住宅ローン全体額のうち10%以内であれば,住宅ローンの目的使途が建物や宅地の購入・リフォームであると評価できるとされ,住宅ローンを支払いながら(住宅を維持しながら)個人再生をすることは可能になります。

この10%以内であることを裁判所に説明するための資料として住宅ローンの申込書が有用なことが多いです。申込書が手元にない場合は住宅ローン債権者から提出の依頼をします。

 

➁別除権協定の検討

自動車ローンやカードローンの返済の金額が住宅ローン全体額の10%を超える場合は,これまで述べてきた住宅ローンを支払いにながら(住宅を維持しながら)個人再生をするという住宅資金特別条項の利用ができないことになります。当事務所では13%のケースでこの住宅資金特別条項の利用を前提とした個人再生をしたことがありますが,結果として裁判所には認められませんでした。

このようなケースでは別除権協定というものを最後に検討する形になります。詳細は割愛しますが,事実上住宅ローン相当額を住宅ローン債権者に支払いながら(住宅を維持しながら)個人再生をすることができます。このような別除権協定は簡単に認められるでしょうか。

⑴被担保目的物である住宅や宅地の査定額が住宅ローンの金額を上回っていること(アンダーローンであること)

⑵住宅が家族の生活の本拠地であり,住宅維持が家族の生活維持のために必須であること

⑶住宅ローンの月返済約定額を住宅ローン債権者に支払っても個人再生の結果に影響が生じないこと

⑷住宅ローン債権者とその保証会社が別除権協定に同意すること

以上の要件を充足していければ,別除権協定により住宅を維持できる可能性がでてきます。ただ,⑴の住宅の査定額についてはコントロールが難しいところであり,⑷の住宅ローン債権者の同意についても,例えば地銀の何社かは同意をしてくれません。別除権協定は中々難しい場合が多いです。

 

住宅を維持するために個人再生(住宅資金特別条項付)の検討をされている方は,当事務所の借金無料相談をご利用いただければと思います。