コラム

給料差押えをされたときの自己破産・個人再生

多額の借金があってそれを払えずに放置した場合,借入先は裁判を起こして判決を取得して給料の差押えをしてくることがあります。給料の差押えがされると,勤務先に裁判所からの通知が届きます。給料の差押えがされた場合,勤務先は,通常は賞与も含めて手取り金額の4分の1をご自身ではなく債権者に直接支払う形になります。婚姻費用や養育費の遅滞での給与差押えの場合,最大手取り金額の2分の1をご自身ではなく配偶者側に勤務先は支払う形になります。このように給料の差押えがされると借金の返済どころか生活費の支払も不安定な状況になってしまいます。このような状況になると,借金の対応は原則自己破産,住宅ローンがあって住宅を維持したいような例外的な場合は個人再生を検討する形になります。

1 自己破産の場合

⑴同時廃止手続の場合

給料の差押えがされた場合,この状況を打破するためには一刻も早く裁判所に自己破産の申立てをして破産開始決定を裁判所に出してもらう必要があります。自己破産には同時廃止手続と管財手続と二種類ありますが,どちらの手続になるかでこの後の流れが変わります。借入の事情に浪費やギャンブル等の悪質性がなく,かつ,目ぼしい資産がない場合は同時廃止手続となります。同時廃止手続で破産開始決定が出た場合は,給与差押え手続は中止となります。この中止によって,給与の手取りの4分の1が債権者に取得されることが一旦ストップになります。他方,ご自身のもとにこの手取りの4分の1がすぐに戻るわけではなく,免責許可決定があるまで勤務先の方で手取りの4分の1の金額を保管する形になります。破産開始決定から約3カ月後に出るであろう免責許可決定により給料差押手続は失効して,勤務先に保管されていたご自身の手元に手取の4分の1の金額が戻る形となりますし,以降は手取りがフルで支払われる形となります。

⑵管財事件の場合

借入の事情にギャンブルや浪費等の悪質な事情がある場合や解約返戻金・自己都合退職したときの退職金の8分の1・自動車の価値が20万円を超えるような場合は管財事件として進行します。管財事件となった場合,裁判所より借入や財産の事情を調査する管財人が選任されます。給与差押えがなされているときは,この管財人が給料の差押えの取消手続をする形となります。この取消手続がされると,今後の手取りの4分の1の給料は債権者ではなくご自身に払われる形となります。ですので,給料差押えがされているときは早急に自己破産の申立てをして破産開始決定を裁判所に出してもらって管財人を選任してもらう必要があります。ただ,上記で述べた同時廃止事件と異なり,管財事件となるような事件の場合,10万から20万円の予納金を管財人に支払える状態であることが必要です。借入の事情のみが問題となるケースでは予納金は10万円,その他の場合の予納金は20万円となります。つまり,この予納金の捻出が可能でないと破産の申立てができず,すぐに給料の差押えへの対処ができない形になってしまいます。管財事件になってしまうようなケースではこの予納金の捻出が最重要となるかと思います。

2 個人再生の場合

住宅ローン有の住宅の維持をしたい場合・自身の職業が警備員や運転代行業や生命保険募集人等の制限職種である場合等で自己破産の選択ができない場合は個人再生をしていく形になります。個人再生を検討するような場合,給料差押えの対処をするにあたって,やはり破産と同様,早急に裁判所に個人再生の申立てをして再生の開始決定を出してもらう必要があります。具体的な流れですが,個人再生の申立て後即座に,裁判所に給料差押えの中止の申立てをする形となります。この中止によって,給与の手取りの4分の1が債権者に取得されることが一旦ストップになります。他方,ご自身のもとにこの手取りの4分の1がすぐに戻るわけではなく,再生の認可決定があるまで勤務先の方で手取りの4分の1の金額を保管する形になります。そして,再生の開始決定があった後,裁判所に給料差押えの取消の申立てをする形となります。これが裁判所に認められれば,保管されていた給料の手取りの4分の1の金額がご自身のもとに戻る形となりますし,以降は手取りがフルに支払われる形となります。ただ,個人再生の開始決定を裁判所に出してもらうためには,手取りのフルの金額が支給された場合に減縮された借入金の返済が可能といえる等のいくつかの条件を満たしていく必要があります。

3 早期の裁判所への申立てが必要

給料の差押えがされたとき,早期に自己破産等の申立てをしなければ差押えの状況が延々と続く形となります。そして,自己破産等の申立てをするためには戸籍謄本・住民票・給与明細書・源泉徴収票・通帳等の資料を迅速に収集して裁判所に提出する必要があります。破産の管財事件の場合は予納金をどのように準備するかという点も重要となります。

4 そもそも給料差押えがされる前に行動することが重要

給料の差押えがされるためには,税金の滞納や養育費の件で公正証書を作成しているような場合を除けば,借入先(債権者)が裁判所に裁判を起こす必要があります。裁判を起こされると,裁判所からの通知が届くはずです(訴状が送達されてくるはずです)。この裁判所からの通知が届いたときに弁護士に相談してきちんと対応していれば,なかなかタイトなスケジュールにはなってしまいますが,給料が差押えされる前に適切な対応が取れます。給料の差押えがされると,裁判所からの通知が勤務先に届くので,借金の件が勤務先にも知られてしまいます。これが嫌であれば,裁判所から訴状が届いた段階で早急に弁護士に相談をすることが重要です。もっといえば,裁判を起こされる前に借入金の支払が難しいと感じたときに弁護士に相談していれば,もう少しゆとりをもって対応ができるはずです。

 

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