コラム

自己破産での預金口座や保険の申告漏れ

自己破産をする場合,裁判所に自身が保有する銀行口座・保険(生命保険や自動車保険等)を正確に申告する必要があります。

銀行口座等の申告漏れがあり,後日何らかのきっかけで未申告の口座等が裁判所に発覚した場合,財産隠匿として破産法252条1項1号の免責不許可事由に該当すると評価される可能性があります。また,裁判所にはあらかじめ自由財産の拡張といって銀行口座中の預金を維持したい旨の意思表示をするわけですが,未申告の口座内の預金についてはその意思表示をしておらず,発覚してから維持したい旨の意思表示をしてもそれが認められないリスクがあります。

このようなリスクを回避するために以下の点を意識いただければと思います(当事務所の方でも確認はします)。

①給与振込口座はどこの口座か

➁家賃の引落口座はどこか

③水道・電気・ガスの引落口座はどこか

④携帯電話の引落口座はどこか

⑤児童手当や年金の振込口座はどこか

⑥各債権者への返済のための引落口座はどこか

⑦保険料の引落口座はどこか

⑧通帳から引き落とされている保険料に対応する保険の保険証券はあるか

⑨住宅の火災保険・地震保険・団信保険は失念していないか

 

自己破産の相談は当事務所の借金無料相談を利用いただければと思います。

 

投資(株式・仮想通貨・FX・先物取引)を理由とした自己破産

令和2年3月頃のコロナショックにより世界各国の株等は暴落しましたが,その後世界各国の中央銀行の金融緩和政策の効果等により

株価は順調に回復をし,令和3年1月時点ではダウ平均・ナスダック・日経平均・ビットコイン等コロナショック以前より高値をつけている状況です。

このような状況からすれば,動機は様々でしょうが,株・仮想通貨・先物取引等の投資をしようと考えるのも当然かと思います。

現在も猛威をふるうコロナウィルスによる今後の経済の影響等を考えれば,自身の資産・収入状況から合理的な範囲での投資は弁護士である私としても

すべきと考えていますし,責められる理由は何らありません。浪費ですらないと私は考えます。

問題は自身の収入・資産からして無茶な取引をした結果(信用取引・レバレッジ等),資産を失い,結果として借入金の返済ができなくなったケースです。

このような場合,問題なく自己破産はできるのでしょうか。

① 自身の資産・収入状況から合理的な範囲での投資

自己破産の前提として支払不能要件を満たす必要があるので,自身の収入状況から借入金の返済が不可能という場合のみ自己破産の検討をします。

先ほど述べた通り,自身の資産・収入状況から合理的な範囲での投資浪費等の悪質な行為でありませんから,そもそも免責不許可事由ではなく問題なく自己破産が可能かと思います。

仮に裁判所から免責不許可事由ではないかという指摘があったとしても,悪質性の低さから問題なく裁量免責がされる可能性が高いかと思います。

自己破産をするにあたっては,まずは自身の資産・収入状況から無理のない投資であったと主張していくことになります。

② 無茶な信用取引・借入等を原資とした投資による自己破産

自身の収入状況・資産からして無茶な投資行為と評価される場合,免責不許可事由(浪費・射幸行為)と評価されることになりますから,簡易管財事件として進行することになります。

簡易管財事件の場合,現金・預貯金合計額が33万円を越える場合やその他の資産の額が20万円を超える場合は弁護士費用の他に予納金として20万円を負担する必要があります。

資産がなく,単に投資行為に関する調査のみ問題になる場合は,予納金として10万円を負担する必要があります。

簡易管財事件として進行するとして,実際に免責(借入金がゼロになる)されるのでしょうか。

当方が実際に扱った案件として,「負債が600万円程度あったところ,退職金が700万円支給された。ところが,退職金を返済に充てず,すべて先物取引に費消したが

失敗して退職金のほとんどを失った。職も失ったので,600万円の負債の返済ができなくなりどうしたらいいか」というものがありました。

結果は,自己破産で受任をして簡易管財事件として進行はしましたが,免責許可(借金がゼロになる)という結果で終結しました。

免責許可の前提として,当方に依頼をして以降は投資を含めた一切の浪費行為を止めて,収入の範囲内で慎ましく生活ができることを対外的に示すことです。

なお,家計の余剰があり一定の返済能力がある方は自己破産ではなく個人再生の選択が無難な場合もあります。

 

無理な投資で失敗をして借入金の返済ができなくなった方も一度自己破産を含めて当方の無料相談をご利用していただければと思います。

個人再生・自己破産と養育費の支払義務

離婚後に子の養育費の取り決めをして養育費の支払いを継続していたものの,収入の減少等の理由で借入金への返済の両立ができないケースを多々見ます。

負債の金額と収入状況によりますが,借入金の返済の対応の手段として自己破産又は個人再生の検討をすることがあります。

これらの手続きの場合,養育費についてはどのような影響を受けるでしょうか。

① 個人再生の場合

養育費は非減免債権として扱われ,特に影響を受けず,そのまま取り決め通りに養育費を支払っていくことになります。

仮に養育費の支払いと個人再生で支払うことになる毎月の返済額の両立が難しい場合は個人再生ではなく,自己破産が妥当ということになります。

なお,個人再生の場合,返済期間を原則3年とし,3年での返済が難しい特段の事情がある場合のみ4年又は5年の返済期間が認められることになります。

支払うべき養育費の金額が裁判所作成の養育費算定表上の金額とあまり差がない場合はいいのですが,この算定表上の金額と比較して高額な養育費の支払いを継続し

ているにもかかわらず,返済期間を5年とする希望が通りにくいケースがありえます(当方が処理した案件で実際に裁判所側から指摘がありました)。

算定表と比較して高額な養育費の支払いをして個人再生での返済期間を5年と希望する場合,元配偶者と養育費の減額交渉が可能ではないかと裁判所側から指摘が入る

可能性は否定できないです。

② 自己破産の場合

養育費については非免責債権として扱われ,自己破産後も養育費を支払う義務は継続します。

破産で依頼をされた場合,すべての借入金の返済は停止していただくことになりますが,養育費については支払いを継続していただくことになります。

 

養育費の支払いと借入金の返済の両立が困難な方は当事務所まで一度無料相談をご利用いただければと思います。

不倫慰謝料請求と自己破産

妻Xさんの夫Yが女性Zと不倫をしていたとします。この場合,妻Xさんは夫Yと女性Zに対して不貞行為を理由に慰謝料請求ができる可能性があります。慰謝料の相場は事情により区々ですが,50万円から300万円の範囲内に収まることが多いでしょう。私も不倫慰謝料請求の案件を多く扱っていますが,たまに夫Y又は女性Zに多額の借入金があるケースがあります。

不倫慰謝料の支払と多額の借入金の返済が家計収支上合理的に両立できないと裁判所に説明できるような場合,夫Y又は女性Zとして自己破産を選択することがあります。自己破産を選択すると免責という効果によりすべての借金の支払いをしなくてもいいことになります。

では,不倫慰謝料についてはどうなるのでしょうか。破産法では,『破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権』は免責の対象外(非免責債権)とされています(破産法253条1項2号)。したがって,不貞慰謝料が「夫Y又は女性Zが妻Xに対して悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」と評価できるか否かで,自己破産をすることで夫Y又は女性Zが支払わなくてもよくなるかの結論が変わることになります。「悪意」とは,単なる故意を超えて,他人を害する積極的意欲を意味するとされています。

この点について,東京地方裁判所平成13年(ワ)第23574号損害賠償請求事件平成15年7月31日判決は,

破産法366条の12但書は「悪意をもって加えたる不法行為」に基づく損害賠償請求権は破産による免責の対象とならない旨を規定するが,正義及び被害者救済の観点から悪質な行為に基づく損害賠償請求権を特に免責の対象から除外しようとするその立法趣旨,及びその文言に照らすと,「悪意」とは積極的な害意をいうものと解される。故意とほぼ同義という原告の解釈は採用できない。
本件の場合,不貞関係が継続した期間は少なくとも約5年にも及び,しかもAの離婚を確認することなく結婚式を挙げたという事情もあるから,不法行為としての悪質性は大きいといえなくもないが,本件における全事情を総合勘案しても,原告に対し直接向けられた被告の加害行為はなく,したがって被告に原告に対する積極的な害意があったと認めることはできないから,その不貞行為が「悪意をもって加えたる不法行為」に該当するということはできない。したがって,被告の不貞行為すなわち不法行為に基づく損害賠償責任は免責されたということになる。

としています。

この裁判例では,不貞行為に悪質性はあると評価していますが,慰謝料請求者に対し直接向けられた不貞行為者の加害行為はなく,したがって不貞行為者に慰謝料請求者に対する積極的な害意があったと認めることはできないとして,不倫慰謝料は免責債権とするという判断をしています。この裁判例を前提とする限り,不貞行為を理由として慰謝料請求をされていたとしても,不倫慰謝料は特殊な事情がない限りは自己破産により免責,支払わなくてもいいという結論になる可能性が相応にあります。

債務整理を検討しているが,銀行や信用金庫から借入のある方へ

債務整理を検討されている方で銀行や信用金庫から借入がある方は以下の点につき注意してください。

①借入のある銀行が給与振込口座であるか

②借入のある銀行に預金がないか

個人再生や自己破産の場合,借入先に銀行や信用金庫があるときは,当該銀行等に弁護士から受任通知を発送します。受任通知を確認した銀行側としては当該通知が届いた時点における相談者様の預金残高と借入金との間に相殺を図ることになります。そして,受任通知が届いてから銀行の保証会社(アコム等の消費者金融の場合もあるし,信用金庫の場合はしんきん保証基金など)に代位弁済される2から3月程度の間は借入先の銀行口座が凍結されることになります。口座が凍結されると,ATMから自由にお金を引き出せなくなります。このように,銀行から借入がある場合,自身の大切な資産である預金が相殺という形で消えてしまう,口座凍結により自由にお金が引き出せなくなるというリスクがあります。借入先の銀行が給与振込口座ではない,銀行口座に預金がない方は全く問題ありませんが,そうでない方は以下の対応をしていただく必要があります。

①借入のある銀行が給与振込口座である場合

勤務先と取引先銀行との関係等の観点から可能である場合は,給与振込口座の変更手続を勤務先にお願いしてください。借入先以外の銀行・信用金庫を新・給与振込口座としていただければと思います。

仮に,給与振込口座の変更が勤務先としてNGである場合は,口座凍結覚悟で銀行に受任通知をそのまま送らざるをえません。しかし,私の経験する限り,宮城県にお住まいの方がよく利用されていると思われる七十七銀行・仙台銀行・みずほ銀行・三菱UFJ銀行については,通帳・銀行届出印・運転免許証などの身分証明書を持参して取引支店の窓口から振込された給与相当額につき引き出せるようです。なので,一定期間手続は面倒になりますが,必ずしも給与を引き出せずに生活ができなくなるということはありません。(この点の銀行側との交渉は弁護士がさせていただきます)

②借入のある銀行に預金がある場合

相殺されないように,全額預金を引き出していただいてから銀行に受任通知を送ります。

債権者・業者に勤務先を教えている方へ

消費者金融等から借入をする際に勤務先を相手に教えている人もおられるかと思います。何故,消費者金融側が勤務先を申込書等に書かせるかというと,一つはご自身の携帯電話番号に電話をかけても出ないときに,勤務先へ電話をして返済の督促をするためです。勤務先に返済の督促をされるのは誰もが嫌かと思いますが,この点については貸金業者に対して弁護士が受任通知を送れば督促は止まるのが原則となります。したがって,返済ができないがために勤務先にまで業者から督促の電話をされている場合は直ちに弁護士に相談をされるべきでしょう。

ただし,もう一点勤務先を業者に教えていることによる懸念点があります。それは,給与差押えがされる可能性があるということです。消費者金融等の業者からの給与差押えの場合,給与全額が差し押さえられるわけではありませんが,給与の手取り金額の4分の1を業者が差し押さえ・取得できます。給与の4分の1が奪われることは生活をしていくうえで非常に厳しいかと思います。したがって,給与差押えがされる前に債務整理の検討をする必要がありますが,給与差押えをするには債務名義が必要となります。債務名義とは支払督促・裁判での判決や和解等のことをいいます。ですので,給与差押えを貸金業者がするには簡単にいえば裁判を起こす必要があります。なので,裁判を起こされる前や起こされた段階であれば,債務整理をすることで給与差押えを回避できる可能性があります。この観点からも,返済が困難になった時点で弁護士に相談をされるべきです。

債務整理中に旅行、引越しはできないのか?

まず,法的には任意整理や個人再生の場合は旅行、引越しの制限はありません。しかし、多額の負債を抱えて債務整理をしているにもかかわらず過大かつ不必要な旅行代等の負担をすることで債務整理が頓挫をしては意味がありません。この点は厳に慎んでいただければと思います。

他方,自己破産の場合、一定期間、引っ越しなどの居住場所の制限を受けることがあります。
つまり、破産手続開始決定時の住所から、自由に移動することができなくなります。また、長期旅行することなどにも制限が課されます。破産者が逃亡したり、財産を隠したりすることを防ぐための制限です。

ただし、引っ越しなどが絶対にできなくなる、という意味ではありません。裁判所に申請をして許可してもらうことができたら、自己破産中でも引っ越しや長期出張、旅行などは可能です。たとえば、もっと安い家賃の家に引っ越したい場合や、今の家を換価しないといけないので、賃貸住宅に移らないといけない場合などには、問題なく引っ越しできます。

自己破産でも、すべてのケースにおいて居住場所の制限がなされるわけではありません。自己破産には、同時廃止と管財事件という2種類の手続があります。同時廃止とは、財産がほとんどない人のための、簡易な破産手続です。これに対し、管財事件とは、財産が一定以上ある人のための、複雑な破産手続です。そして、居住場所の制限が課されるのは、管財事件になった場合だけです。同時廃止の場合は、居住場所の制限を受けず、自由に引っ越しをすることができます。しかし、自己破産手続中であれば、たとえ同時廃止の場合であっても、引っ越し先について裁判所へ報告しなければなりません。

債務整理手続における退職金の扱い

まず、債務整理のなかでも任意整理においては退職金に一切影響はありません。

他方、破産手続では影響があります。

①退職金を受給した後に破産をする場合

現金・預貯金扱いになりますから,自由財産拡張制度利用で総資産99万円までは維持できますが,それ以上の金額については債権者への配当等に回ってしまいます。つまり,最大でも 受給した退職金-99万円までしか維持できません。そもそも多額の退職金があり負債を上回っている場合は支払不能とはいえず、破産ではなくそもそも退職金で支払いをするしかないでしょう。

②退職前に破産をする場合

退職をする必要はありませんし、退職金自体が処分されることはありません。しかし,退職金の8分の1が破産財団として扱われます。その具体的影響ですが,まず,退職金の8分の1の金額が20万円を超える場合は管財事件となり,弁護士費用とは他に予納金20万円を負担する必要があります。そして,退職金の8分の1とその他の資産の合計額が99万円以内に収まる場合は特に問題はないですが,99万円を超える限りで弁護士費用・予納金の他に相談者様が裁判所から選任される管財人に積み立てをする必要があります。積立金額は退職金の8分の1やその他の資産の合計額-99万円ということになります。

③退職間近で破産をする場合

上記②で退職金の8分の1が破産財団になると述べましたが,退職間近である場合は裁判所の判断で退職金の4分の1が破産財団とされる場合があります。この退職間近がいつなのかは明確な基準がなく裁判所次第なところがあります。

上記のような退職金の積立額の負担が過大な場合は個人再生の選択を検討することになっていきます。個人再生手続の場合、退職金の積立は不要ですが、退職金の8分の1額+その他の資産額が多額である場合はその総額を3年から5年で支払っていくことになります(清算価値保障原則)。

簡易裁判所から支払督促や訴状が届いた場合

万が一裁判所から支払督促や訴状が届いても、まずは落ち着いてどのような書面が裁判所から届いているのかを確認してください。
もちろん、そのまま放っておくことはできませんが、訴状が届いたばかりであれば時間的な余裕はある程度あるはずです。
まずは書面の内容を確認し、その後は以下のような手順で準備を行うのが一般的です。

1 訴状の場合は第一回口頭弁論期日を確認

一般的には、「第1回口頭弁論期日(裁判所に出頭しなければならない日)」が、訴状が届いた日から1ヶ月程度先に設けられることが多いです。
そして、その1週間ぐらい前に、こちらの言い分を書面化した「答弁論」の提出期限が設けられているので、その間に弁護士を探して裁判の準備をする必要があります。

2 弁護士に相談

請求金額が多額である場合等、自身で対処できそうにない場合は弁護士に相談をしてください。特に、支払督促についてはご自身の自宅に届いてから2週間しか猶予がございませんので、対応について早急に弁護士と相談をしていただければと思います。

 

保証人の方の債務整理

借金・債務整理の「保証人」というと、通常は「連帯保証人」のことを指します。
連帯保証人は、主債務者と同等の返済責任が発生し、法律上はどちらから返済を迫っても構わないとされています。そのため、債権者からの督促や請求が、返済が困難になった主債務者以上に、この連帯保証人に対して執拗に行われることがあります。

友人が自分を勝手に連帯保証人にし、貸金業者と契約を結んでしまった。このように第三者が勝手にあなたを保証人にしてしまう可能性が、全くないとは、言い切れません。このような場合、貸金業者に対してあなた自身が(連帯)保証人になる旨の意思表示をしていなければ支払義務はありません。通常は、契約書や借用書の(連帯)保証人欄に署名・押印することによって(連帯)保証契約は成立します。貸金業法では保証契約を締結した時は、契約書面を当該保証人に交付しなければならず、書面の交付がない場合は貸金業者に罰則に処せられる場合もあります。また、連帯保証人には『求償権』というものがあり、自分が債務者に代わって貸金業者にお金を支払った場合は主たる債務者に対してその分のお金を求償することができます。

連帯保証人になることを承諾してしまった場合は保証人としての責任を負うことになります。また、法律上『求償権』というものがあっても、現実的には主たる債務者に資力がない場合がほとんどでしょうからお金を回収することは困難といえるでしょう。主たる債務者が自己破産をしている場合は求償権を行使してお金を回収することはできません。その場合、債務者が自己破産をしても保証人には影響がありませんので、保証人も支払能力がない場合は任意整理や自己破産などの債務整理手続を取る必要があります。実の兄弟の連帯保証人になっており、連絡のとれなくなった本人の代わりに借金を支払うことになったケースもあります。保証人のトラブルが起こったら、法律の専門家である弁護士へご相談ください。あなたに合った解決法が見つかります。